喜劇王5 #775

775名無しさん@Next2ch:2016/08/03(水) 23:21:09.96 ID:???

この流れにキュンキュン()きたからパがブサイクに凸する駄文投下しやす…



ゴミ溜めみたいな二階の部屋―――
例のモノ以外は全てキッチリと返却されてるようだ。山積みにされたダンボール箱を眺めつつ、俺は僅かな隙間に横たわり何をするでもなく時間を過ごしていた。
こんなもん、どう見てもゴミにしか見えないだろうに警察って結構律儀だねえ…と感心してしまう。
暇を持て余した俺はダンボール箱を片っ端から開いて詰め込まれた物を確認してみる。
ゴミ…ゴミ、ゴミ、ゴミ、あれもゴミ、これもゴミ、ぜーんぶゴミだ。ゴミばっかり。
……解ってはいる。でも捨てられない。あれも、これも、俺にとっては大切な物だ。無造作にダンボールを開いて中の物を部屋にブチ撒け続けていたが、ふと手の動きが止まった。

この貝殻――あいつに渡したあの貝殻の片割れだ……

他人が見たら、どう見てもゴミにしか見えないであろう貝殻――それを握り締めて俺は嗚咽していた。

会いたい―――

会いたい、会いたい会いたい、会いたい会いたい会いたい、会いたい―――

忘れようと思っていたのに……一気に湧き上がってきたその感情に俺の心は完全に支配された。もう、いても立ってもいられない。我慢ができない。脳みそがチリチリと焼けるような感覚――
俺は涙を拭いもせず、呻き声をあげながら軽トラの鍵を掴んで二階の窓をブチ破らんばかりの勢いで外に飛び出していた。誰かが家の中から俺を呼んでるような声が小さく聞こえた気がしたがもう耳には入らなかった。


気付いたら、俺はあいつの家の玄関の前に立っていた。玄関越しに人の気配を感じる……留守ではないようだ。
『どうしよう………』
激情に突き動かされてここまで来てしまったが、どの面下げてあいつに会おうってんだ?
でも、この家の中にあいつが居る。そう思うと会いたくて堪らないのに身体が強張って動かない。俺は何もできないまま玄関の前で小一時間立ち尽くしていた。

通りすがった人が不審な目で俺をチラリと見た。やばい、変だと思われてる……このままでは埒があかない。俺は勇気を出して震える手でチャイムを押した。

「―――はい」

あいつの声だ……久し振りに耳にするあいつの声。身体がガタガタ震える。舌が縺れて上手く声が出せないが喉から声を絞り出す。

「………おで。」

と小さく呟いた。数秒後、もの凄い勢いでドアが開いた。
「………あ、」
久し振りに見るあいつの顔、なんか痩せたなぁ、相変わらず変な顔……何て思ってたら、
「………入れよ」って言われた。
「ぇ、ぁ、はい……」
家に入れてくれるんだ……優しいなぁ、こいつ本当に優しい……と暫し感動していたらあいつはちょっとニヤケたような顔で
「あのさぁ、その格好で来たの?」と言った。
「……ぇ?ぁ、うん。変?」
と言いつつ、俺は靴も履かずに家を飛び出した事に今更気付いた。溝鼠みたいな色のヨレヨレのスウェット。髪もボサボサだし、どっから見ても怪しい人だ。
「変だよっ!足、拭いてから上がって。」
あいつはちょっと笑いながら呆れたようないつもの口調で濡れタオルを渡してくれた。あいつの指先が俺の手に軽く触れる。それだけで俺はじんわりとした幸福感に包まれた。

「……どうしたの?」

俺は濡れタオルを握り締めたままぼろぼろと泣いてた。
俺はこいつを騙してた。ずっとずっと騙してた。そして最悪な形で裏切った。こいつの優しさも信頼も一緒に過ごした時間も、全部全部棒に振った。バカ、バカ、バカ、俺はバカだ。大バカだ。

こいつは

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