801サロン@チラシの裏避難所 143枚目 #949

949名無しさん@Next2ch:2015/05/19(火) 22:53:06.42 ID:???

 明かりを一切消し去った、暗い寝室の一組の布団の上に寝そべるAの共襟を、Bはぐっと掴み左右に開こうとした。
「B、今日はちょっと……」
 薄く汗の浮く胸が襟の間から覗き、Bがさらにそれを開こうとしたとき、その乱暴な腕をAがやんわりと拒む。
「どうしたんだ?」
 常ならばこのような状況でAは拒むことはない。普段とは異なるその言動に、Bが訝しげに眉根を顰め尋ねる。
「えっとーー」
 Aは何かを言いよどんだあと、結局何も言わずに口を噤んだ。だが、そのような曖昧な態度を許すBではない。
「体調でも優れないのか?」
 気遣わしげな色を含ませた聞き方に、逆にAが焦ったように遮る。
「えっと、違うんだけど……」
「じゃあどうしてだ」
「そこまでだ」聞いたことのある声、寺生まれで霊感の強いTさんだ
Bの前に来ると、自前の釣竿を振り回し
「破ぁ!!」と叫ぶ、すると釣竿の糸が眩く光り、振り回した糸が剣のように次々と影を引き裂いてゆく!
ある程度影を振り払うと、Tさんの呪文によって周りには光が走り、あっと言う間に影は全滅した。

「Tさんも夜釣りですか?」そう尋ねるとTさんはBを指差し「まあな、随分と小物を釣り上げちまったがな・・・」
帰り道で聞いた話によるとあそこは自殺の名所で首吊りが首吊りを呼ぶ恐怖の橋らしい。
「すっかり日も上がっちまったな、どれ、街で女の子でも釣りに行くか」
そう言って車に飛び乗り爽やかに笑ってみせるTさんを見て
寺生まれはスゴイ、俺はいろんな意味で思った。

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