統合失調症をごく簡略化して表現すれば、脳の一部の機能がバランスを崩し、
ものごとを考えるという働きにまとまりがなくなった状態、といえるでしょう。
その結果現れる症状は、「陽性症状」と「陰性症状」という分け方をされます。
●陽性症状
発病の急性期の主な症状で、その典型は「幻覚」と「妄想」です。
幻覚は実在しないものが見えたり音が聞こえたりしてしまう症状で、その多くは、
聞こえるはずのない声が聞こえる「幻聴」です。自分の悪口や批判をする声が
聞こえるなどということがあって、本人は大きな精神的苦痛を味わいます。
妄想は、誰かに見張られている、盗聴されているなどと強く思い込むものです。
ほかの人から嫌がらせや迫害を受けている、と思い込む「被害妄想」が多くみられます。
●陰性症状
慢性期になると目立ってくる症状で、うつ状態のようにもみえます。たとえば
「感情の平板化」といって、感情の働きが鈍くなり、表情や会話が乏しくなって
周りの人たちとの人間的交流や共感が失われます。思考力や意欲が落ちて学校に行けない、
自分自身の清潔を保てないなど、「思考の貧困化」、「意欲の低下」もみられます。
引きこもり状態になる「自閉」も現れます。