芥川の文学をやりたかったら数学を勉強しろという言葉はこのことだったかと納得してしまう。「うっ上手い」と唸ってしまう傑作。
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筒井康隆氏の帯文に乗せられて買った。 【この面白さたるやただものではない】 、といった内容の。 そして、失敗した。
結局、全編を通して言いたかったことは何?
いろいろな登場人物に著者のウンチクを語らせるのだが、 それがやたらと長くて、小説の展開をぶち切る。 それでも我慢して読み進めても、何の面白みもない結末が待っているだけ。
著者の考え方(歴史、政治など)を示したいのなら、 わざわざ小説形式にする必要はなく、論文やエッセイに すればいいと思う。
唯一、よかったのは、文章の下手な同僚のつくった論説を 主人公が手直しする場面。
「こうすれば面白い論説になるのか」と、文章づくりの 要諦を教えられた。