【他の芥川賞選考委員による選評】
・山田詠美 『真ん中の子どもたち』評 ----------- 前半は、料理以前の原材料という感じ。 中国語で、漢字表記だから物語に埋め込まれているように一見思えるが、これが、あまり馴染みのない言語、 たとえば、ブルガリア語とか、アラビア語とか、…だったりしたら、、まるで語学のテキスト。
・吉田修一 『真ん中の子どもたち』評 ---------- 「母国語」とアイデンティティーという切実なテーマだけが、ブルトーザーのように眼前に迫ってくる。 これでは読者は怖くて飛び退くしかない。 良い意味での余白がほしい。
・奥泉光 『真ん中の子どもたち』評 -------- 魅力的な場面もあるけれど、平板なのはたしかで、しかし物語の平板さは、語り手の品の良さと 裏腹だと思われたものの、賛同を得るにはいたらなかった。
・髙樹のぶ子 『真ん中の子どもたち』評 --------- 自己の存亡を掛けて闘い追求しなくてはらならない切実な問題が用意されれば、 もっと強いテーマとして浮かび上がるはずだ。
・川上弘美 『真ん中の子どもたち』評 ----------- 好感をいだきました。 その好感が、感慨や動揺や連想にまで広がってゆかなかったの は、…主人公のアイデンティティーと どうかかわってゆくのか、わかりにくかったからです。 もちろん、説明はしてありました。 けれど、小説は説明だけでは足りないのです。
・村上龍 『真ん中の子どもたち』評 ------------ 〈残念ながら一切触れていない〉