■息子を「理想の彼氏」に育てる! 35歳シングルマザーの願望
大阪府内に住むシングルマザーのミサキさんは5年前、同い年の男性と「授かり婚」したものの、嫁姑の関係に悩み3年間で離婚した。子どもは5歳になる息子がひとりいる。
「今は私の実家に戻っています。両親の援助があるとはいえ、母子2人の生活は決して楽ではありません。子どもの将来を考えると再婚も選択肢のひとつであるとわかっています。でも、独身の頃とは違い、今は母親という立場と責任があります。結婚するお相手は夫だけではなく、子どもの父親としてふさわしい方かどうかも考えなければなりませんから」
学生時代から美人と評判だったミサキさんの20代は、男性に不自由することなどなく、常に何人かの男性が取り巻きとしていたいう。そんな奔放な恋愛を楽しんでいたものの、不思議と結婚願望はなかった。正社員として働いていた仕事が充実していたことが大きい。だが、急な妊娠で、母親としての自覚と責任感が芽生えてきた。妊娠を契機に何人かいた交際相手との縁は全て断ち、結婚した。
「予想外の妊娠でした。でも、家庭は新婚当初からうまく行きませんでした。そうなると夫には何も期待できません。唯一の希望は息子だけです。不思議と、母親となってからは他の男性に魅力を感じることもなくなりました。散々、遊んできたからかもしれませんね」
こう語るミサキさんは、5歳の息子を、「血を分けた、もっとも理想の彼氏」として育てているという。
「育てているというよりも『尽くしている』という感覚です。まだ先のことはわかりませんが、もし息子が将来、彼女を連れてきたら、絶対に許せないです。その彼女とやらはタダで済ませるつもりはありません!人の男を取りやがって――そんな感じですね」
最愛の息子とは、寝る前のハグと、幼稚園に行く際や帰って来た際の「お別れとお帰りのキス」を毎日欠かさない。当然、お風呂も毎日一緒。できることなら、「成人する20歳までは続けたい」(ミサキさん)という。
冒頭部で紹介したアイコさん、先述のミサキさん、その過程と背景は異なるものの、息子を「小さな異性」とみているところは一致している。
こうした近親相姦的な愛着を持つ母親の心理とはいかなるものなのか。発達心理学を専門とする関西学院大学の桂田恵美子教授によると、そもそも「愛着」という言葉の使い方が違うと指摘する。