特別リポート:中国が海軍力増強、崩れる太平洋の軍事均衡
https://jp.reuters.com/article/china-navy-special-report-idJPKCN1S61S2
(前略)
しかし、その後、米国の動きは様変わりし、今は中国への不用意な刺激を避けるかのように慎重だ。
米側は過去11年間、同海峡に空母を派遣していない。今年4月28日、米国は昨年7月以来、7度目となる派遣を
実施したが、同海峡を通過したのは2隻の駆逐艦だけだった。
一方、中国国家主席の習近平には、ためらいは見られない。今年1月2日、習は、台湾に武力解放ではなく平和統一を
呼びかけた「台湾同胞に告げる書」の40周年記念の式典で演説し、台湾支配を回復するために必要ならば武力の行使も
辞さないとの厳しい姿勢を改めて明確にした。
「トランプ政権はジレンマに直面している」と、台湾戦略学会の研究員で元海軍大尉の張競は語る。「米国としては中国の
誤解や過剰反応を避けたい。そのために巧妙に調整されたシグナルを送ろうとしている」と指摘した。
1990年代以降、中国はわずか20年余りで世界最大の海軍力を確立し、いまや南シナ海、東シナ海、黄海という三つの
海域で制海権を手中にしている。その勢力拡大のスピードは他のすべての国の海軍を凌駕しており、習の願望どおり、
中国は太平洋における軍事的な勢力図を大きく塗り替えつつある。
(後略)