しかし今回の理研の発表によれば、たしかにキメラの作製には成功しなかったが、小保方さんがスクリーンの前で指さして見せたあの緑色に発光した細胞(Oct4─GFP陽性細胞)自体は、45回試みたうち40回、作製に成功しているというのである。
その先のキメラ形成に成功しなければ、当初、小保方さんらが『Nature』で発表した実験結果の完全な再現にはならないことはいうまでもない。だが、『Nature』の論文で小保方さんが担当したのは、基本的にはマウスから得た細胞を酸処理したところ、Oct4─GFPが活性化し、緑色に光る細胞が見られたという実験の前半部分である。その後のキメラ形成は、若山教授らが分担した実験である。
つまり、小保方さんは自分が担当した部分については、45回中40回、再現することに成功しているのである。それにもかかわらず、彼女が『Nature』で発表した実験結果が何一つ再現できなかったようなイメージが形成されているのは、あまりにも公平を欠いていないだろうか?