このようにクジラのふんはデータの宝庫だが、海の生き物たちにとっても価値あるお宝だ。海洋生物に不可欠な微量栄養素である鉄分が豊富に含まれているからだ。
植物プランクトンがこの鉄を摂取し、オキアミが植物プランクトンを食べ、クジラがオキアミを食べてまた大量にふんを出す。驚異的なことに、クジラは捕食しているオキアミより多くのオキアミの個体数を支えているのだ。科学者たちはこの現象を「オキアミのパラドックス」と呼ぶ。
乱獲でクジラが減った海域では、クジラの餌になるオキアミや餌をめぐってクジラと競合関係にあるアザラシや海鳥などが増えそうなものだが、実は減っていることが調査で分かっている。
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