教員間暴行の加害教員4人、なぜ起訴されなかった? 兵庫県警内でも意見割れる
小学校内で、嫌がる後輩に先輩教員が激辛カレーを食べさせる-。社会に衝撃を与えた事件は11日、兵庫庫県警が加害教諭4人を書類送検し、節目を迎えた。注目度の高さや問題の深刻さから、県警はいったん起訴を視野に捜査。ただ、物的証拠は乏しい上に4人に加害の意識は薄く、2人は職を失った。学校で起きた特殊な事件を巡り、県警内でも意見が割れながら、慎重な判断に至った。
昨年10月、子どものいじめをいさめるはずの教師が、集団で異様な加害行為を重ねていた事実が動画で明らかになった。
被害届を受理した県警は、加害教員に逃亡や証拠隠滅の恐れがないとして逮捕せず、小学校の捜索をしなかった。「なぜ逮捕しないのか」。県警には連日、電話が多く寄せられた。
聴取を進めるほど明らかになったのが、被害教員と加害教員の認識のずれ。被害教員は約100項目のハラスメント行為を訴えたが、加害教員は「ふざけ合いの延長だった」と犯意を否定。ある捜査関係者は「加害の意識が低く、動画以外の明らかな物的証拠がない」と立証の難しさを挙げた。
一方、別の捜査員は「先生のありえない行為にあきれた。悪質な教員は起訴にもっていきたい」。捜査員の見方は分かれた。
ただ、書類送検容疑となった暴行や強要罪は凶悪犯罪に当たらず、一般的に刑事裁判が開かれるのはまれだ。さらに、神戸市教育委員会は通例と違い、検察官の刑事処分を待たずに4人の懲戒免職や停職、減給処分を決めた。
県警の捜査幹部は刑事罰を強く求めなかった判断について、「世間の処罰感情が強かったこともあり、起訴の可能性は最大限探った」と明かし、加害教員が既に受けた社会的制裁の大きさと、容疑内容とのバランスを考慮したことをにじませた。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202003/0013186515.shtml
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