いま、一部の永田町関係者やマスコミ関係者、そして公安関係者の間で、次のような「ウワサ」がささやかれている。
「日本の大手メディアのワシントン支局が米当局から入手した情報では、米軍は9日にも北朝鮮の軍事施設を攻撃するかもしれない」(マスコミ関係者)
「米軍が9日にも北朝鮮を攻撃するとの話が永田町で流れている。官邸は、釜山の日本総領事館前に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として、
長嶺安政駐韓大使を1月9日から一時帰国していたが、今月4日に帰任させた。官邸は本来、このタイミングで駐韓大使を戻すつもりはなかったのだが、
米軍の攻撃があるため邦人保護に当たらせる必要から急きょ韓国に戻したと囁かれている」(政党関係者)
これらは事実なのだろうか。デイリーNKジャパン編集部が取材したところでは、どうやら米軍によるシリア攻撃を受けて語られた「事情通の見解」が、ぐるぐる回るうちに「関係者情報」に化け、
さらに尾ひれ背びれが付いて、まことしやかに語られている――という類のものであるようだ。
シリアと北朝鮮は、第4次中東戦争で共闘して以来の友好国である。国際情勢における立ち位置にも似たところがあり、このような「観測」が出るのも無理はないとも言える。
(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘)
しかしそもそも、北朝鮮の核関連施設がどこにどれだけあるか不明だと言われている状況下で、同盟国(韓国と日本)が核報復を受けるリスクを冒してまで、米軍が攻撃に踏み切ることなどあるだろうか。
ただ、筆者は朝鮮半島で武力衝突が起きる可能性自体は排除しない。たとえば偶発的な衝突が、戦争にまでエスカレートしてしまうことはあり得ると考えている。実際、韓国軍兵士が北朝鮮の地雷で身体を吹き飛ばされた2015年8月の軍事危機は、一触即発の事態に発展した。
また、そのような展開が起きれば、米韓は北朝鮮の想定をはるかに上回る大量報復で、金正恩体制を転覆させようと考えるだろう。そのような作戦を準備しつつ、情勢を半ば誘導して
、緊張を作り出すこともありえなくはないだろう。
残念なのは、このような可能性については日ごろ、日本のメディアで言及されることがほとんどないということだ。
重大な危機が発生する可能性は常に存在する。それに対処するために必要なのは、突然湧いて出た情報に惑わされず、日ごろから真剣な議論を行っておくことだと思う。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20170407-00069648/