アメリカのネット通販大手、アマゾンが手がける電子書籍の読み放題サービスをめぐって、大手出版社が一方的に配信を停止されたとして抗議声明を出した問題で、アマゾン側が提示した「特別条件」が、その背景にあることがわかりました。
この問題は、アマゾンがことし8月に日本でサービスを開始した電子書籍の読み放題サービス「キンドル アンリミテッド」をめぐって、出版大手の講談社が1000を超える書籍や、雑誌のすべての配信を一方的に停止されたとして、今月3日に抗議声明を発表し、小学館や光文社などの大手出版社も対応の改善を求めたものです。
今回の問題をめぐっては、アマゾン、出版社の双方とも個別の契約内容を明らかにしていませんが、NHKは、アマゾンが委託した仲介役の取次会社が出版社に提示した資料を、独自に入手しました。
それによりますと、アマゾンの電子書籍の読み放題サービスでは、税込みで月額980円の購読料はアマゾンと出版社で50%ずつ折半したうえで、出版社の間では、490円を書籍の価格と読まれた書籍の数に応じて、各社に配分される方式となっています。
さらにアマゾンは、サービス開始からことしの年末まで「期間限定特別条件」を設定し、1冊ごとに販売する通常の電子書籍と同様のかたちで出版社に支払いを行うとしていました。
この特別条件では1冊のページ数のうち、10%以上が読まれた場合、1冊販売したと見なすことになっています。
しかし、日本では文字の多い書籍よりも、ページを読み進めるスピードが速い漫画や写真集が人気となっています。このため、10%を超えて読まれる書籍が続々と増え、その結果、出版社への支払いが想定以上に膨らんで、アマゾンにとって大きな負担となったため、配信の停止に踏み切ったと見られています。
著作権に詳しい弁護士は「配信サービスを行う会社は利益は後回しにして、シェアの拡大を最優先にしがちだが、今回はその無理が露呈したかたちで、結局は消費者が損をすることになるのではないか」と指摘しています。
ソース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161021/k10010737301000.html