動植物や名画を題材に細密な下絵が描かれた「大人の塗り絵」ブームが再燃している。第1次ブームからほぼ10年。この1年は毎月のように新刊が発売され、一部の出版社からは一時「刷っても刷っても追いつかない」とうれしい悲鳴も。衰える気配がないという、その人気とは。
JR新宿駅に近い紀伊国屋書店新宿本店。草花や名画といった定番から、童話や映画のキャラクターまで「大人の塗り絵」の専用書棚には、多種多様なジャンルがぎっしりと詰まっている。
担当の井村紗緒里さんは「昨年五月ごろから急激に売れ始め、急いで専用書棚を増やしました。いまも売り上げは伸び、月に五百冊は出ています」と話す。
火付け役は二〇一三年に出版された「ひみつの花園 花いっぱいのぬりえブック」だ。草花や森、小さな動物や昆虫など少女趣味のモチーフを、非常に細やかな線で描いたデザイン画風の塗り絵だ。英国発で、これまで世界四十四カ国で累計二千万部が売れている。この塗り絵がひと味違うのは着色の手本がないこと。どんな色づかいで、どんな風に塗っても構わない。下絵が細かく施されている分、丁寧に塗りさえすれば誰でも本格的に仕上げることができるという。
◆心も売り上げも伸び伸び
日本では当初、静かな売れ行きだったが、昨年春にテレビのワイドショーで取り上げられると状況は一変。二十~四十代の女性を中心に三十万部を発行する大ヒットになった。フランス語で「塗り絵」を意味する「コロリアージュ」と呼ばれ、おしゃれな響きとともに流行のキーワードになっている。
同書を出版するグラフィック社の本木貴子さんは「できあがると一人一人の個性がはっきりして世界に一つだけの作品になります。手軽に楽しめるアート性が受けたのかも」とヒットの要因を分析する。
こうして、彗星(すいせい)のようにベストセラーが登場したことで、出版各社からはさまざまな類書が登場。中にはストレス解消や脳の活性化、認知症予防をうたう本もある。
昨夏ごろには「各社で塗り絵の用紙の奪い合いになり、印刷したくてもできない状況」(出版関係者)という。現在の関連書籍は三百~四百種類程度とされ、その影響で色鉛筆も空前の売れ行きを記録している。
前出の井村さんは「最近はジャンルの広がりとともに、購買層も幅広くなってきた。中国人観光客がお土産用にまとめ買いすることもある。勢いはしばらく続くのでは」とみている。
続きはソースで
東京新聞:大人の塗り絵 絵になる人気:放送芸能(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016071702000178.html