東京電力は福島第1原発事故後に自粛していたテレビコマーシャル(CM)を、新潟県限定で再開している。同県には東電の柏崎刈羽原発があり、6、7号機は原子力規制委員会で審査中。再稼働には地元の同意が必要で、CMで企業イメージを回復し、地元の理解を深める狙いがあるとみられる。 CM第1弾は「東電新潟本社設立のお知らせ」で、今年6月から10月末まで放映された。第2弾は柏崎刈羽原発の「安全対策編」で、新たに設けた防潮堤や高台に配置した電源車などを紹介する3種類。第3弾の「緊急時訓練編」では、同原発で訓練に取り組む様子を映し、最後に所員らが「どんな状況でも対応できるよう訓練に全力を注ぎます」と訴えている。
東電によると、CMは1本30秒。地元民放で1局当たり月60本が流れている。東京や他県では放送されていない。
地元民放4局の対応はさまざまで、特に第2弾は対応が分かれた。新潟テレビ21は放映せず、同社編成局は「規制委の審査中であり、東電が安全対策といっても県民の意見は分かれている」と説明する。新潟放送とテレビ新潟は冒頭に福島事故のおわびを入れるなど修正を求めた。新潟総合テレビは修正していない。
福島事故後、東電の広告は事故のおわびと節電協力のお願い、賠償金の支払い開始だけだった。新潟ではテレビCMだけでなく、新聞・雑誌の広告やラジオCMも再開されてい る。
東電新潟本社の木村公一代表は取材に対し、「県全域の皆さまに安全対策や発電所での訓練についてご理解をいただくため、どうしても必要なCMという位置付けで各局にお願いした」と説明する。費用は明らかにしていない。第4弾も検討するという。
ソース
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2015121900167