楽天・三木谷社長は"牢屋"から飛び出した
クリムゾンハウス始動で何が変わったか
山田 俊浩 :東洋経済オンライン編集長
2015年10月08日
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クリムゾンハウスのすべてのフロアに引き詰められたレッドカーペットは、佐藤可士和氏のアイデア。
しかし、目にきついので一部フロアでは茶色への張り替えを検討しているという
山田:9月末で楽天市場の引っ越しも完了し、日本国内の本社機能が二子玉川に集約されました。
三木谷:いやあ、なかなかいいですよね、これ。自分でいうのもなんですけど非常によくできていると思います。
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「朝会」を行うスペースは広大だ
このオフィスの1番のポイントは、全員がオープンなスペースで仕事を行うことです。それは私も例外ではありません。今まで、いわゆる社長室という名のクローズな個室のオフィスがあったんですけど、それをなくして私も平場になりました。
平場といっても相当大きなスペースなんですけども、そこに座っていますから、誰でも、私のところに来ることができます。今日も何人も何人も挨拶に来て、いろいろな話をしました。今まではどうだったかというと、社長秘書にアポを取って、「10分時間をください」「30分ください」とかって言って調整をしていたわけですね。ところが、ここではどんどんウォークインでやってくる。そのおかげで、いろいろなことが前に進んでいくようになりました。
今まで社長室という「牢屋」に入っていた
山田:オープンドア・ポリシーどころか、もうドア自体がない。
三木谷:そう、ドアがない。私は開発部の隣に座っていますから、よりプロダクティブなことに直接関われるようになりました。これをやってみて分かったのは、言い方は悪いけど、「俺は今まで社長室という牢屋に入っていたんだな」と。つまり、隔離された情報の牢屋に入っていたんです。
山田:情報が間接的にしか入ってこない場所にいた、と。
三木谷:今思えば、そうでしたね。でも、ドアをなくしてオープンにした瞬間にいろいろなものが見えるようになってきたんですよ。今までいったい何をやっていたんだって思うかもしれませんけど。
これは本当に驚いたのですが、平場になっただけで、何もかもが大きく変わります。もうすでに会社の血の流れが変わり始めていて、社内のいろいろなところで新しいアイデアが動き出している感じがしています。それは各サービスもそうですし、サービス間の連携という意味でも起きている。
例えばインターネット金融事業は、品川に本社があった時には、近いといっても50メートル先の別のビルにいた。これが本当に同じビルの中に一体化した。これによって、我々の国内の「コネクティング・ザ・ドッツ(点を結んでいく)」という戦略が、さらに強化されつつある。これが、新本社によって起きつつあることの1点目です。
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