<内閣改造>復興相交代に被災者冷淡
「復興を軽く見ているのでは」。第3次安倍改造内閣で高木毅衆院議員(福井2区)が復興相に就いたことに、東日本大震災の東北の被災地からは7日、驚きや不満の声、注文が相次いだ。国内有数の原発立地県の選出議員で過去の選挙では「原発推進」を掲げただけに、東京電力福島第1原発事故の避難者らは「期待するのは無理」と冷ややかに受け止めた。
岩手県宮古市の仮設住宅で暮らす無職松浪富彦さん(77)は「主要閣僚が留任する中、復興相を交代させたのは復興を重視していない証拠だ」と強調。「震災から4年半が過ぎても多くの人が住宅を再建できない。一貫性のある復興施策ができるのか」と疑念を抱く。
高木氏は竹下亘前復興相と同様、被災地との縁が薄い印象が拭えない。
宮城県東松島市の防災集団移転団地に住む会社役員相沢良章さん(58)は「被災地に関係ある人がよかった。予算をしっかり組んでマンパワーと知恵を被災地に向けてほしい」と求めた。
「生の声を聞きに来てほしい」と望むのは宮城県気仙沼市の仮設商店街「復興屋台村 気仙沼横丁」事務局長の小野寺雄志さん(44)。
仮設商店街の敷地かさ上げに伴い、18店の退去期限が1年後に迫るが、約半数は再建場所が未定だ。「国は本当に困っている人を救う仕組みを整えるべきだ」と訴えた。
宮城県石巻市の亀山紘市長は「早く被災地を訪れて復興の今を捉えてほしい」とコメント。岩手県沿岸市町村復興期成同盟会長の野田武則釜石市長は「被災者一人一人がさまざまな状況に置かれていることを忘れず取り組んでほしい」と述べた。
高木氏は選挙区に原発14基(うち3基は廃止)が集中し、過去の選挙で「原発推進」を訴えた。福島県内では原発事故対応が、避難者の立場に立って進むかどうか不安視する向きもある。
原発事故で飯舘村から福島市の仮設住宅に避難する無職田中シノブさん(67)は「政治家の『復興第一』は口先だけで大臣が代わっても期待できない。東京五輪などで福島の被害は忘れられつつあり、実行力があれば誰でもいい」と言う。
全町避難が続く福島県浪江町の馬場有町長は「復興に水を差さないよう、積み上げてきたものを前に進めてほしい」と期待を込めた。
(画像)安倍改造内閣のニュースに見入る仮設住宅の住民=7日午後2時すぎ、東松島市の矢本運動公園仮設住宅集会所
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ソース
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201510/20151008_73017.html