東芝:1兆円を資本市場で調達、経営トップ関与の水増し会計で
2015/07/22 13:25 JST
(ブルームバーグ):東芝 が経営トップの関与が認定された不適切会計の期間中に資本市場から調達した公募増資
などの総額が、約1兆円に上ることが分かった。投資家は税前利益などが水増しされた財務諸表に基づいて投資判断
を行っていたことになり、今後の当局による罰則や民事、刑事責任の判断に影響を与える可能性がある。
ブルームバーグの集計によれば、東芝は2009年5月に3330億円の公募増資を実施、国内外の機関投資家や個人に
新株式の発行や株式の売り出しを行ったほか、09年5月から13年12月の間に計6400億円の普通社債や劣後債などの
有価証券を発行した。
東芝の会計問題を調査していた第三者委員会は20日、08年4月から14年12月までの間の意図的な利益かさ上げなど
不適切会計から、1500億円超に上る決算の修正が必要だと発表した。金融商品取引法第172条の2によれば、虚偽
記載などのある開示書類に基づいて有価証券を取得させた発行者は課徴金の対象となり、株券の場合は発行額の
4.5%、債券は2.25%が科される。
早稲田大学法学学術院の黒沼悦郎教授は、ブルームバーグの取材に「虚偽の情報を提示して資金調達するのは
詐欺行為そのものだ。有利な条件で資金調達をしていたことに問題がある」と述べた。その上で「金商法が守ろうとしている
法益を侵害する」と指摘した。
利益操作と投資家の判断
東芝は過去最大の課徴金を課せられるリスクがある。ブルームバーグが東芝が不適切会計期間に発行した株式と債券
それぞれの額と、金商法の算定基準で行った試算によると、最大で300億円規模の課徴金を科される可能性がある。
早稲田大学の黒沼教授は計算方法や課徴金額について妥当だとしている。金融庁の箭野拓士広報室長はこれらに
ついて「現段階でコメントできることはない」と述べた。
不適切会計の責任を取って21日に辞任した東芝の田中久雄前社長は同日夕の記者会見で、不適切な発行開示類に
基づいて有価証券が発行されたことについて、「投資家の判断を誤らせた可能性があることについて真摯(しんし)に
受け止めている」と語った。
(以下略)
http://www.bloomberg.co.jp/bb/newsarchive/NRTRMI6JIJV101.html