真面目な幹部、なぜ「暴発」…杵築放火１週間
大分県杵築市で住宅が全焼し子供４人が遺体で見つかった事件は、発生から１２日で１週間。
現住建造物等放火容疑で逮捕された父親で海上自衛隊１等海尉の末棟憲一郎容疑者（４０）による衝動的な犯行とみられて いる。
仕事でストレスを抱えていたとみられ、県警は、勤務地の広島県江田島市に捜査員を派遣するなどして犯行に至る経緯の解明を進めている。
５日深夜、杵築市八坂の木造２階建ての家が炎に包まれ、２階で寝ていた中学２年の長女悠佳梨さん（１４）、小学４年の四男雅祐君（９）、小学２年の次女真由美さん（７）、幼稚園児の五男滋ちゃん（５）が死亡。
翌日、「灯油をまいて火を付けた」と供述した父親が放火容疑で逮捕されたことで、 事件は急展開を見せた。
末棟容疑者は１９９３年に長崎県の高校を卒業後、海自に入隊。
２等海士からのたたき上げで幹部職員に なった。
今年３月に現在の広島県江田島市に転勤、隊員の指導役で、海自によると「働きぶりは真面目」だという。
週末は車で杵築市に帰宅、日曜日の深夜に自宅を出 発する生活を送っていた。
犯行直前も広島に戻る準備をしており、翌朝から勤務の予定だった。
捜査関係者は「夫婦、家族の仲は良かった」とした上で、きっかけは「夫婦のやりとりの中のささいなこと」と説明。
末棟容疑者が、いわば「暴発」するまでの心の動きを追うことが事件解明のカギを握るとみる。
妻は、「パパが心の病になり、心配」などと複数の知人に打ち明けていた。
自衛隊には、悩み事を相談する窓口が あり、末棟容疑者は前任地の山口県下関市で相談していた。
３月以降は大分県内の心療内科を複数回受診していることを県警は確認。
広島に捜査員を派遣して、勤務状況などを調べている。
「お父さんとお母さんは恋愛結婚なんだよ」。
犠牲となった長女が、愛くるしい笑顔で話していたのを近くの住民は覚えている。
家の前に設置された献花台には、花束やお菓子などが供えられ、住民らが手を合わせて、亡くなった子供たちの冥 福を祈っている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150711-OYT1T50106.html