このように、主要国の警備当局がドローンに過剰反応しないのは、現時点ではハード面で対テロ対策の有効な方法がないためであり、
ドローンを使う側のマナーやルール遵守を呼びかけるしかないと判断しているからでもある。特に米国はそれが顕著だ。
米国政府関係者が小型ドローンで大騒ぎをしないのは、それがテロなど悪意的に使用される可能性があることは承知しているが、
その最善の対応はドローンの規制強化ではなく、警備の面で対テロ対策を強化することだと考えているからでもある。
(中略)
しかし、日本では首相官邸のドローン事件が発生してから、ドローン関連の法整備と犯罪・テロ対策は区別すべきなのに、
すべてを一緒にして一気に議員立法で規制しようとする動きが国会議員の間にはある。
あるドローン関係者は、「本来は専門家が慎重に議論すべき内容なのに、専門的知識のない議員が性急に議論するのは危険だ」と危惧している。
国土交通省関係者も「もともとは商用ドローンの法整備が主要な課題だったが、事件後は規制の対象が趣味用ドローンにも及んだ」と漏らす。
海外ではドローンの安全運用ルールづくりと犯罪・テロ対策は別モノであり、趣味用ドローンと商用ドローンは区別するといった原理原則をきちっと
踏まえて議論が展開されている。しかし、日本でそれができるのか。今回の事件のようにドローンが悪用されるのを心配するのなら、まずは警備対策を
きちっとやるべきで、それができたところで、ドローンの安全運用に関わるルールづくりを製造メーカー、ユーザーを含めて総合的に時間をかけて議論するのが順序だろう。
http://biz-journal.jp/2015/05/post_9885.html