スイスの山々を「箱根登山電車」のロゴを描いた列車が駆け抜けた。鮮烈な姿はインターネット上で話題を呼び「なぜだ」「スイスは
日本の漢字が好きなのか」とおかしな噂にもなった。ところで実はスイスではこの列車を走らせるだけでなく、模型まで作って日本に
贈っているのはご存知だろうか。
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■100年前からつながっていたスイスと箱根
まず、すべての物語は100年以上前にさかのぼる。1907年、海外漫遊から帰国した日本人が、スイスの優れた登山鉄道の見聞を
小田原電気鉄道に伝え、それをもとに箱根に登山鉄道を通す計画が開始する。日本の技師がスイスにおもむき、急勾配を通常の
線路で走る「Berninabahn(ベルニナ鉄道)」に注目。参考にしながら箱根登山鉄道を完成させたのだ。
箱根登山鉄道はその後、着々と営業を続け、1979年には60周年を迎えた。この機に旧ベルニナ鉄道を受け継ぐ「Rhätische Bahn
(レーティッシュ鉄道)」に姉妹提携を申し入れ、快諾を得ている。
2009年、箱根登山鉄道は姉妹提携30周年を記念し、レーティッシュ鉄道の顔といえる特急列車「氷河特急(グレッシャー・エキスプレス)」
の塗装をした列車を箱根に登場させた。
すると翌2010年。レーティッシュ鉄道が箱根を表敬訪問し、今度は箱根登山鉄道のロゴを、ぜひスイスを走る列車にラッピングしたいと
申し出る。さらに実際に保有する機関車のひとつ「Ge4/4 II型」の622号にロゴ塗装を行い、箱根登山鉄道の代表が現地を表敬訪問
した際に披露した。
この件について、スイス政府観光局に詳しい話を聞いたところ、スイスでは機関車に企業のロゴをデザインして走らせる「アド列車」は
よくあり、スーパーマーケットの「COOP」や土木建設会社の「Holchim」など、各社のロゴを全面にあしらった機関車が走っている。通常は
有料の年間契約だが、箱根登山鉄道については長きにわたる姉妹提携を祝し、無料で塗装したという。
それがスイスの山々を走った「箱根登山電車」の正体だ。必ずしも、スイスの人が漢字をかっこいいと思ったから、という話ではないようだが、
レーティッシュ鉄道と箱根登山鉄道のあいだに通い合う信頼は確かなものだ。
ところで、2つの鉄道会社の物語にはまだ続きがある。
(続きはソースで)
http://ennori.jp/2781/hakone-tozan-railway-in-switzerland