世界遺産・仁和寺(京都市右京区)が運営する宿坊の元料理長の男性(58)=京都市北区=が、過酷な長時間労働で抑うつ状態になったとして、寺を相手取り約4700万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が12日、京都地裁であった。堀内照美裁判長は「極めて過酷ともいうべき長時間労働を強いており、労働時間規制を軽視する態度は顕著」と指摘し、仁和寺に総額約4253万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2005年から境内にある宿坊「御室会館」の料理長を務めていたが、11年には月100時間以上の時間外労働が常態化。月200時間以上になることや349日の連続勤務もあった。男性は12年に「抑うつ神経症」と診断されて仕事を休むようになり、13年には労働基準監督署から労災認定を受けた。
原告男性は判決後に記者会見し「これで人生を一歩前に進めるが、私の体が治ったわけではない。これまで仁和寺から謝罪は一切無く、誠意のなさにショックを受けている」と語った。
仁和寺の担当者は「主張が認められず大変残念。内容を精査して控訴を検討したい」としている。【川瀬慎一朗】
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