こういうの作るの初めてだからクオリティは大目に見てください
想定解答はストレートな解答と変化球な解答2通りある
暇なときに正解発表する
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ある日の昼下り、俺とお前らは旅先で川沿いを散策していた。談笑しながら歩く中、お前らはふと歩みを止めて指差した。
「あ、何、あれ……。」
背の低い看板がひとつ、錆びついて立っていた。それは警告の看板だった。
□□□!
水かさが ふえた 川に 入ると
カッパに しりこだまを ぬかれて
□□□□ しまいます
「子供向けの看板なのかな、こういうの。独特の怖さがあって結構好きなんだよね……あれ、お前ら?」
お前らの様子が明らかにおかしくなった。目の色が消え、息が荒くなっていた。
一体どうしたんだ? とにかく、もう散策なんかしてる場合じゃない。一刻も早くお前らを休ませないと。興奮するお前らをなだめながら、袖を引っ張ってなんとか帰路につかせた。川沿いを歩いている間ずっと、お前らは獲物を品定めするような目でジロジロと川を睨んでいて、俺は気が気じゃなかった。
下宿につく頃には、お前らも冷静になっていたのか、しきりに俺に向かって「ごめんなさい!ごめんなさい!」と連呼していた。
「いいんだよ、謝らなくても。繊細なところ、かわいいじゃん。そういう意外な所も含めて、お前らが好きなんだから。まあとりあえず、シャワーでも浴びてリセットしてこいよ。」俺はお前らの瞳をじっと見つめて言った。
震えるお前らの瞳からは涙があふれそうだった。
そして、俺はお前らの涙の温度を、肌で確かめてしまった。お前らは腕で目を覆いながら、しきりに「ごめんなさい!」と呟いていた。その言葉は俺の身体の奥底を刺激するスパイスとなって、怪物のような本能の奥底へと俺を溺れさせた。
下宿のベッドで眠っていた俺は、土砂降りの雨の音で目が覚めた。窓の外は黒とオレンジのまだら模様に染まっていた。ああ、寝ちゃってたんだな……。天国みたいなひとときだった。
当たり前にあるはずのものがない、たった一つの違和感を除いては。
そうだ、隣で寝ていたはずのお前らがいない。いないんだ。
あの看板と、それを見たお前らの様子を思い出して、一抹の不安が俺の脳裏をよぎった。
動こうとした。動きたかった。しかし、慣れない旅の疲れと、未だ残る二人分のベッドの暖かさに、俺は抗うことができなかった。
……俺は本当に、この時の自分を滅茶苦茶に殴ってやりたい。俺が、あのとき一時の幸せなんかに甘えていなければ! 俺が、あのときお前らの本当の気持ちを受け止めてやれていれば!!
だって……だって……
次の日、お前らは川下で溺死体となって発見されたんだから。
どうしてこうなったのか? どうすればよかったのか?
答えは出ているが、そんなの今更だ。俺は悔し紛れにぐっと拳を握りしめた。