苫小牧アイヌ協会(澤田一憲会長)が苫小牧市生活館(矢代町2)で開いているアイヌ刺しゅうの複製講座で
協会会員の女性2人が、オヒョウニレの樹皮からできた織物「アットゥシ織り」に刺しゅうを施した着物を完成させた。
20年以上続く同講座で、アットゥシへの刺しゅうは初の挑戦。
昨年6月に作業をスタートしてから約8カ月かけた労作だ。
携わった2人は「アイヌ刺しゅうの中でも、(アットゥシは)最も難しい物の一つ。
これを励みに、今後も技術の伝承に努めたい」と意気込む。
作品を完成させたのは協会事務局長の大竹房子さん(65)と会員で刺しゅう歴約3年の小関若生(わかお)さん(52)。
講師は苫小牧駒沢大学をはじめ、市内外で指導する砂澤代恵子さん(71)が務めた。
平取など道内数カ所で作られているアットゥシ織りだが、使用できる樹木が限られていたり
織り技術の担い手が減少するなどして、年々手に入りづらく、貴重になっている。
協会でも数年前からアットゥシの刺しゅう教室を開きたかったが、素材の不足や技術の難しさで実施できずにいたという。
見た目は麻のようだが、デニム地よりも硬いアットゥシ。
作業はすべて手縫いで、反物を着物に仕立てていくことから始まる。
刺しゅうも、遠目には1色のように見えるが、実際はばらばらの3色の糸を1本1本順番に縫って完成させる。
「とても根気のいる作業」と大竹さん。
生地が硬いため、鉄製の太い針を用いなければならず、指の先を何度も針で傷つけることもあった。
数ミリ単位の縫い目を手作業で施していく根気のいる仕事だ。
「昔の人は、こんな大変な思いをして着物を作っていたんだと実感しました」と小関さんは、作業の日々を振り返る。
「子孫繁栄」「家族仲良く健康で暮らせますように」など、それぞれ意味を持つ文様をつなぎ、大きな一つの刺しゅうに。
砂澤さんも「今は、一般に流通する綿生地などで作ることがほとんど。
今回は教える側も相応のエネルギーが必要だった。終わって一安心です」とほっとした表情。
完成した作品は、展示の予定は今のところなく、市生活館で保管される。
画像等
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以下ソース
http://www.tomamin.co.jp/20150222545