2回留年した大学生、奨学金を打ち切られ「自由主義に僕は殺される」と焼身自殺
仏大学で苦学生が焼身自殺図る、世論はマクロン政権に怒り https://news.infoseek.co.jp/article/afpbb_3254737/
【AFP=時事】フランスの大学の構内で、奨学金を打ち切られた大学生が焼身自殺を図り、 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)政権に世論の怒りが向かっている。
仏南東部リヨン(Lyon)にあるリヨン第2大学(Lyon 2 University)に在籍するフランス人学生(22)は今月8日、 学生生活が窮迫したことに抗議して、大学構内で自らに火をつけ自殺を図った。 全身の90%にやけどを負って重体となっている。
この学生は先ごろ奨学金を打ち切られ、フェイスブック(Facebook)への投稿で自分の窮状は仏政府の政策のせいだと非難していた。
学生らは12日、リヨンをはじめ首都パリ、リール(Lille)、ボルドー(Bordeau)などで数百人規模の抗議デモを展開。 パリではデモ隊が高等教育・研究省の門を打ち壊し、庁舎の壁に「経済的な不安に殺される」などと殴り書きした。 リヨン第2大学では12、13日の両日、学生らが授業を妨害した。
自殺を図った学生は政治学を専攻していたが、2年次で2回留年し、奨学金を打ち切られた。 地元紙ル・プログレ(Le Progres)が紹介した学生のフェイスブック投稿によれば、生活は 1か月当たり450ユーロ(約5万4000円)の奨学金を受け取っていたときでさえ苦しかったという。
学生はこの投稿の中で、「格差を生み出した自由主義」を非難。マクロン氏とフランソワ・オランド(Francois Hollande)前大統領、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)元大統領、 欧州連合(EU)によって「僕は殺される」と訴えていた。
2016年の政府統計によると、フランスでは大学生の約3分の1が1年次で留年しており、 入学後3年以内に3年生に進級できるのは28.4%のみ。学生の多くが自活のために働いており、 これが試験での落第率の高さの一因といわれている。
リヨンの抗議デモに参加していた社会学専攻の女子学生は、しばらく入院した後に受けた試験で及第点を取れず、 奨学金を打ち切られたとAFPに話した。そのため複数のアルバイトを掛け持ちせざるを得なくなり、 ごみ箱の残飯をあさる日すらあるという。
マクロン大統領は昨年、課題となっている財政赤字削減の一環として学生向け住宅助成金を最高で 月額5ユーロ(約600円)に減額した。ただ、一方で富裕層には減税となる政策を導入したことから、激しい非難を浴びている。