外食すらしなくなった中国の消費者層
こうした消費者による“セコロジー”の横行により、売り上げが低迷しているのはスタバだけではない。深圳市内で日本料理店を経営する日本人(44歳)は話す。
「利益率の高い酒類を売ってナンボの日式居酒屋では最近、酒の持ち込みに泣かされています。スーパーで買った日本酒や焼酎を持参する客が少なくない。日本酒の場合、市価の3~4倍で出しますから、客にとってはかなり安上がりです。先日、火鍋店に行ったらスーパーで買ってきた豚肉や羊肉のパックを持参している連中も見かけましたよ」
さらに財布のひもが固い人は、外食すらしないという。
「今、話題の節約術が『インスタント麺買い置きチャレンジ』です。まず給料日に1か月分のインスタント麺を買う。ネットでまとめ買いすれば60食分が2500円ほどで手に入る。これでできるだけ食い繫ぎ、食費を浮かせる。どれだけ節約できたか、SNS上で自慢するのがはやっています」(前出の日本料理店経営者)
庶民の間で消費降級の動きが広がるなか、中国国家統計局が公表した昨年12月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比で0.99%の上昇にとどまり、前月の2.7%から大幅に鈍化している。
丸三証券経済調査部長でエコノミストの安達誠司氏は、中国経済でさらに深刻な事態が進んでいる可能性を指摘する。
「中国政府が公表する経済指標は、中立性が疑問視されることが多いですが、相手国のある貿易統計は比較的信用できる。昨年12月の中国貿易統計を見てみると、輸入は前年同期比で7.6%減と’16年7月以降最大の落ち込みとなっている。
貿易戦争が続く米国からの輸入は35.8%減って、これは容易に理解できますが日本からの輸入も7%減で、EUからの輸入も減少している。これはもはや、米中摩擦の影響ではなく、国内の消費全体が落ち込んでいることを示している。デフレを疑ってもいいレベルです」
日本経済の救世主といわれる中国人観光客の爆買いも、いつまで続くのか。あまり頼りすぎないほうがいいのかもしれない。
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