ムハンマドの生涯描く映画、イランで公開 アラブ諸国反発も
2015/8/30 18:25
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H0F_Q5A830C1000000/
【テヘラン＝共同】イラン政府が製作を支援し、イスラム教の預言者ムハンマドの生涯を描く映画が
イランで公開され、一部の劇場でチケットが売り切れるなど注目を集めている。だが偶像崇拝を禁じる
イスラム教ではムハンマドを描くことは一般にタブーとされ、教義に厳格なアラブ諸国の反発を招く
可能性もある。
「ムハンマド、神の使者」と題された作品は、「運動靴と赤い金魚」などを手がけたイランのマジッド・
マジディ監督が、「地獄の黙示録」で知られるイタリアのビットリオ・ストラーロ氏を撮影監督に迎え
製作した。
イランの最高指導者ハメネイ師も撮影現場を訪れるなど、映画を後押しした。国内最高額の４千万
ドル（約48億円）をかけた大作だ。
俳優がムハンマドを演じているが、顔は一切見えず、身元も公表されていない。マジディ監督は地元
メディアに「欧米で高まるイスラム恐怖症や誤解と戦うために製作した」と話している。
エジプトにあるイスラム教スンニ派の最高権威機関アズハルは、預言者を具現化することは許されない
として公開中止を要求。一方、同作品の関係者からは「映画を批判する人々は、（シーア派の）イランに
よる文化の輸出を嫌っているだけだ」との反論も出ている。
ムハンマドをめぐっては、パリで１月、風刺画を掲載した週刊紙「シャルリエブド」本社が銃撃され、
12人が死亡。2005年にもデンマーク紙が風刺画を掲載し、各国でイスラム教徒の強い反発を招いた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H0F_Q5A830C1000000/