詐欺に気づいた被害者が警察に協力する「だまされたふり作戦」で、受け取り役（受け子）として逮捕され、詐欺未遂罪に問われた兵庫県尼崎市の男性（３５）に対し、福岡地裁は１２日、無罪判決（求刑・懲役３年）を言い渡した。丸田顕あきら裁判官は「被害者がだまされたと気づいた後に送った物を受け取っても、詐欺には当たらない」と判断した。
「だまされたふり作戦」は特殊詐欺事件の捜査手法として全国の警察で活用されており、今後の捜査に影響を与える可能性もある。
男性は氏名不詳者らと共謀し、昨年３月１６日頃、福岡県大野城市の８０歳代の女性に電話をかけ、現金を払えば、ロト６に必ず当選する特別抽選に参加できるとうそをつき、１５０万円を要求、現金をだまし取ろうとしたとして起訴された。
女性は東京に住む息子や警察に相談するなどして同２３日に詐欺に気付き、福岡県警の捜査に協力。２４日、だまされたふりをして現金を入れたように見せかけた箱を、指定された大阪市のマンションの一室に発送。２５日、荷物を受け取った男性を県警が逮捕した。
丸田裁判官は判決で、男性が「受け子」として氏名不詳者らから指示を受けたのは２４日と認定。この段階で、女性が詐欺に気づいていたと指摘した。そのうえで、女性が箱を送ったのは犯人逮捕に協力するためで、詐欺は成立しないとした。
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20160913-OYS1T50000.html