アリさんもお前を歓迎するためにずっと、ずっと準備してきたんだ。それはもう大変で。自分より大きなバッタの遺骸を運ぶ。何匹も連なって
途中で足がとれた個体や人間の子供の足の影に隠れたきり会えなくなった個体。
見送りながらアリさんはやはり列を成して途方もない道のり(って言ったって僕らにしちゃあ数秒でいける)を歩き続ける
次の瞬間自分が、自分の今までが、無慈悲に潰されるかも知れないって。わかってるのかわかってないのかも僕たちには知るよしもないんですけど。
とにかく潰すなぞ僕らには造作も無いことだ。なんでこんなにも僕たちの一歩には命が詰まってるのか。
あ、今踏んだアリさんはよく働く子だったのに。さっきなんか女王踏んでたよ。あ、今のはニート。一緒にそのお母さんも踏んじゃった。貧民もね。大富豪も。生後間もない赤ちゃんとか、進学したての学生とか。苦労だらけの会社員も
なんてことないよ。知ったこっちゃないもん。宇宙の瞬きに比べれば